ビットコインの未来を予測?DMI作戦で、おこづかいは増えるかな?
このお話では、ビットコインが1時間ごとにどう動くかを調べて、もうけを出すことを目指す「DMI作戦」という方法を紹介します。約4ヶ月間のデータを使って、この作戦がうまくいったのか、そして、これからどうすればもっと良くなるのかを、わかりやすく説明しますね。
導入と前提条件
このお話では、ビットコインが1時間ごとにどう動くかを調べて、もうけを出すことを目指す「DMI作戦」という方法を紹介します。約4ヶ月間のデータを使って、この作戦がうまくいったのか、そして、これからどうすればもっと良くなるのかを、わかりやすく説明しますね。
【検証】戦略のバックテスト概要
- 戦略名: Directional Movement System を使用したトレンド追従戦略
- 対象銘柄: BTC/USDT
- 時間足: 1h
- 期間: 2025-04-28〜2025-08-26(119日間)
- 初期資金: $10,000
- 手数料・スリッページ: 0.1% / 0.1%
- 取引所: binance
Directional Movement System の理論的背景
この作戦は、「市場の値段には、流れやクセがある」という考え方が元になっています。ビットコインみたいなお金は、値段がぐんぐん上がったり、どーんと下がったりする「勢い」がありますよね。DMI作戦では、この勢いを測るために「上がるパワー(+DI)」と「下がるパワー(-DI)」という2つの数字を使います。もし「上がるパワー」が「下がるパワー」よりも大きくなったら、「よし、これから上がりそうだ!」と判断します。逆に、「下がるパワー」の方が大きくなったら、「おっと、下がりそうだぞ」と判断します。さらに、「元気の強さ(ADX)」という数字で、そのパワーが本物かどうかをチェックして、十分に強いとわかったときに「今だ!」という合図を出します。
具体的な売買ルール(今回の検証)
エントリー条件
- 買うタイミング:「上がるパワー」の数字が「下がるパワー」の数字より大きくなって、さらに「元気の強さ」の数字が25よりも大きくなったときです。
- 売るタイミング:「下がるパワー」の数字が「上がるパワー」の数字より大きくなって、さらに「元気の強さ」の数字が25よりも大きくなったときです。
エグジット条件
- もうけを自分のものにするタイミング:買ったあとに、「売るタイミング」の合図が出たら、取引をやめます。
- 損をできるだけ小さくするタイミング:売ったあとに、「買うタイミング」の合図が出たら、取引をやめます。
リスク管理
一度にたくさんのお金は使いません。もしもの時のために、なくなっても平気な金額だけで挑戦します。もし、予想と反対に値段が大きく動いてしまったら、すぐに取引をやめて、それ以上損が大きくならないようにします。
再現手順(HowTo)
- Python/依存(ccxt, pandas, ta)をインストール
- ccxtでBTC/USDTのOHLCVを取得して前処理
- 『Directional Movement System』に必要な指標を算出(ta 等)
- 閾値・クロス条件から売買シグナルを生成
- 手数料・スリッページを加味して検証・評価
【結果】パフォーマンス
価格の推移
資産の推移
パフォーマンス指標
指標 | 値 |
---|---|
総トレード数 | 92回 |
勝率 | 22.83% |
平均利益 | 1.38% |
平均損失 | -0.95% |
期待値 | -0.42% |
プロフィットファクター | 0.43 |
最大ドローダウン | 35.62% |
最終リターン | -32.34% |
シャープレシオ | -0.84 |
HODL(Buy&Hold) | 16.67% |
HODL戦略との比較
実装コード(Python)
"""
Directional Movement System Trading Signal
DMIシステムを使用したトレンドフォロー
"""
import pandas as pd
import numpy as np
def calculate_directional_movement_system_signals(df: pd.DataFrame,
period: int = 14) -> pd.DataFrame:
"""
Directional Movement System戦略のシグナル生成
Parameters:
-----------
df : pd.DataFrame
OHLCVデータ
period : int
DMI計算期間(デフォルト: 14)
Returns:
--------
pd.DataFrame
シグナルが追加されたDataFrame
"""
df = df.copy()
# True Range
df['h_l'] = df['high'] - df['low']
df['h_c'] = np.abs(df['high'] - df['close'].shift(1))
df['l_c'] = np.abs(df['low'] - df['close'].shift(1))
df['tr'] = df[['h_l', 'h_c', 'l_c']].max(axis=1)
df['atr'] = df['tr'].rolling(window=period).mean()
# Directional Movement
df['up_move'] = df['high'] - df['high'].shift(1)
df['down_move'] = df['low'].shift(1) - df['low']
df['plus_dm'] = np.where((df['up_move'] > df['down_move']) & (df['up_move'] > 0), df['up_move'], 0)
df['minus_dm'] = np.where((df['down_move'] > df['up_move']) & (df['down_move'] > 0), df['down_move'], 0)
# Smoothed DM
df['plus_dm_smooth'] = df['plus_dm'].rolling(window=period).mean()
df['minus_dm_smooth'] = df['minus_dm'].rolling(window=period).mean()
# Directional Indicator
df['plus_di'] = (df['plus_dm_smooth'] / df['atr']) * 100
df['minus_di'] = (df['minus_dm_smooth'] / df['atr']) * 100
# ADX
df['dx'] = 100 * np.abs(df['plus_di'] - df['minus_di']) / (df['plus_di'] + df['minus_di'] + 0.0001)
df['adx'] = df['dx'].rolling(window=period).mean()
# シグナル初期化
df['signal'] = 0
df['is_buy'] = False
df['is_sell'] = False
position = 0
for i in range(period * 2, len(df)):
# 買いシグナル(+DI > -DI かつ ADX上昇)
if position <= 0 and df['plus_di'].iloc[i] > df['minus_di'].iloc[i] and df['adx'].iloc[i] > 25:
df.loc[df.index[i], 'is_buy'] = True
df.loc[df.index[i], 'signal'] = 1
position = 1
# 売りシグナル(-DI > +DI かつ ADX上昇)
elif position >= 0 and df['minus_di'].iloc[i] > df['plus_di'].iloc[i] and df['adx'].iloc[i] > 25:
df.loc[df.index[i], 'is_sell'] = True
df.loc[df.index[i], 'signal'] = -1
position = -1
else:
df.loc[df.index[i], 'signal'] = position
df['signal'] = df['signal'].fillna(0)
return df
def get_strategy_name() -> str:
"""戦略名を返す"""
return "Directional Movement System"
def get_strategy_description() -> str:
"""戦略の説明を返す"""
return "DMIシステムを使用したトレンドフォロー戦略"
なぜこの結果になったのか(3つの理由)
- 1この作戦では、勝った回数の割合が22.83%と低く、92回取引した結果、最終的にお金が32.34%減ってしまいました。これは、ビットコインの値動きが予想通りにならなかったり、合図が出たあとにすぐ反対に動いてしまったりすることが多かったからだと考えられます。
- 2「期待値」という、1回の取引で平均してどれくらいもうかるかを示す数字がマイナス(-0.42%)でした。これは、取引をするたびに、少しずつ損をしていた計算になります。
- 3「一番大きく損したときの割合(最大DD)」が35.62%と、かなり大きかったです。これは、一度の失敗で持っていたお金がガクッと減ってしまう危険があったことを示しています。
この結果から学べる3つの教訓
- 1値動きの波に乗る作戦でも、いつもうまくいくわけではないことを学びました。特にビットコインは、突然値動きが変わることがあります。
- 2勝つ回数が少なくても、1回勝ったときのもうけがすごく大きければ、全体ではプラスになることもあります。でも今回は、勝つ回数も少なく、もうけも大きくなかったので、残念な結果になりました。
- 3損を大きくしないための工夫(リスク管理)が、すごく大事だと改めてわかりました。一度の失敗で大きく損をしないように、もっと工夫が必要だと感じました。
リスク管理の具体的手法
取引量の決め方
取引に使うお金は、自分が持っているおこづかい全体の、ほんの少し(例えば100分の1とか)だけにします。そうすれば、もし負けても、全体へのダメージを小さくできます。
損失が大きくなったときの対処法
もし、損が続いて全体のお金が一定の割合(例えば10%)減ってしまったら、一度すべての取引をお休みします。そして、作戦が今の状況に合っているか、じっくり見直す時間を作ります。
資金管理の方法
もしもうかったら、その一部は次のチャレンジのためにとっておき、少しずつお金を育てていくことを目指します。また、負けが続いても、焦って一度に使うお金を増やしたりはしません。
改良案の具体的提案
- 売買の合図が出たときに、他の情報も見て、「本当に今がチャンスかな?」ともう一度確かめるルールを加えることを考えます。例えば、全体の流れが上向きのときだけ買う、などです。
- 「元気の強さ」が25より大きい、というルールだけだと、ちょっとした値動きにも反応しすぎているのかもしれません。「元気の強さ」の数字が、ただ大きいだけでなく、どんどん上がっているときだけを狙うなど、ルールをもう少し賢くすることを考えます。
- 「これ以上損したらやめる」というライン(損切り)を、もっと手前に設定するなど、ルールを厳しくして、大きな損をしないように改善します。
実用性の向上(運用上の注意)
- この作戦は、値動きの方向がはっきりしているときには力を発揮しやすいですが、ビットコインのように急に値段が動く場合は、合図が出てもすぐに反対に動くことがあるので注意が必要です。
- 計算に使う「14」という期間の数字は、変えて試してみることで、もっと良い結果が出るようになるかもしれません。
- 実際にこの作戦を使う前には、必ず昔のデータで「練習(バックテスト)」をして、自分に合ったやり方かどうかを確かめることがとても大切です。
検証の透明性と信頼性
- データの出所: このお話は、コンピュータのプログラムと、ビットコインの過去の値段の動き(始値、高値、安値、終値、取引量)のデータをもとに作られています。
- 検証のやり方: コンピュータのプログラムを使って、2025年4月28日から8月26日までのビットコインの1時間ごとのデータで、この作戦の成績を調べました(これをバックテストと言います)。
- コード: 作戦の計算方法がわかるコンピュータのプログラム(Pythonコード)は、見ることができます。
- 注意事項: このお話で紹介している作戦や結果は、あくまで過去のデータにもとづくものです。将来も同じようにもうかることを約束するものではありません。お金を使うときは、必ず自分でよく考えて決めてくださいね。