みんなの気持ちを読んで仮想通貨を取引!でも、この作戦はうまくいかなかったみたい
今回は、仮想通貨「イーサリアム」の値段の動きを使って、お金を増やす作戦を考えてみました。5分ごとの値段の動きを見ながら、「みんなが今、強気かな?弱気かな?」という市場の『キモチ』を読んで、買うか売るかを決める方法です。でも、試してみたら、残念ながらうまくいきませんでした。どうして失敗しちゃったのか、一緒に見ていきましょう。
導入と前提条件
今回は、仮想通貨「イーサリアム」の値段の動きを使って、お金を増やす作戦を考えてみました。5分ごとの値段の動きを見ながら、「みんなが今、強気かな?弱気かな?」という市場の『キモチ』を読んで、買うか売るかを決める方法です。でも、試してみたら、残念ながらうまくいきませんでした。どうして失敗しちゃったのか、一緒に見ていきましょう。
【検証】戦略のバックテスト概要
- 戦略名: Psychological Line を使用したトレンド追従戦略
- 対象銘柄: ETH/USDT
- 時間足: 5m
- 期間: 2024-08-06〜2025-08-25(383日間)
- 初期資金: $10,000
- 手数料・スリッページ: 0.1% / 0.1%
- 取引所: bybit
Psychological Line の理論的背景
どうやって『みんなのキモチ』を数字にするかというと、こんな感じです。例えば、過去12回の値段の動きを見て、そのうち値段が上がったのが何回あったかを数えます。もし、上がった回数がすごく多ければ(例えば9回以上とか)、みんなが「もっと上がるぞ!」と盛り上がって『買われすぎ』の状態だと考えます。逆に、上がった回数がすごく少なければ(例えば3回以下とか)、みんなが「もうダメだ…」と弱気になって『売られすぎ』の状態だと考えます。この作戦では、みんなが『買われすぎ』のときに売って、『売られすぎ』のときに買う、というルールで取引をしました。
具体的な売買ルール(今回の検証)
エントリー条件
- みんなのキモチが『売られすぎ』のラインより下だったけど、そこから元気を取り戻してラインを上回ったら、買う合図です。
- もう一つの買う合図は、さっきよりも『みんなのキモチ』の数字が大きくなったときです。
エグジット条件
- みんなのキモチが『買われすぎ』のラインより上だったけど、少し落ち着いてラインを下回ったら、売る(利益を確定する)合図です。
- もう一つの売る合図は、さっきよりも『みんなのキモチ』の数字が小さくなったときです。
リスク管理
今回の作戦では、残念ながら損が大きくなってしまいました。大きな損をしないためには、まず「もしこれくらい損したら、きっぱり諦めてやめる!」というルール(損切り)を決めておくことが、とっても大事です。一度に大金を使わないことも大切ですよ。
再現手順(HowTo)
- Python/依存(ccxt, pandas, ta)をインストール
- ccxtでETH/USDTのOHLCVを取得して前処理
- 『Psychological Line』に必要な指標を算出(ta 等)
- 閾値・クロス条件から売買シグナルを生成
- 手数料・スリッページを加味して検証・評価
【結果】パフォーマンス
価格の推移
資産の推移
パフォーマンス指標
指標 | 値 |
---|---|
総トレード数 | 394回 |
勝率 | 40.1% |
平均利益 | 1.16% |
平均損失 | -1.86% |
期待値 | -0.65% |
プロフィットファクター | 0.4 |
最大ドローダウン | 93.61% |
最終リターン | -93.29% |
シャープレシオ | -0.23 |
HODL(Buy&Hold) | 85.27% |
HODL戦略との比較
実装コード(Python)
"""
Psychological Line Trading Signal Generator
市場心理を数値化した逆張り指標
"""
import pandas as pd
import numpy as np
def calculate_psychological_signals(df: pd.DataFrame,
period: int = 12,
oversold: float = 25,
overbought: float = 75) -> pd.DataFrame:
"""
Psychological Line戦略のシグナル生成
Parameters:
-----------
df : pd.DataFrame
OHLCVデータ
period : int
計算期間(デフォルト: 12)
oversold : float
売られ過ぎライン(デフォルト: 25)
overbought : float
買われ過ぎライン(デフォルト: 75)
Returns:
--------
pd.DataFrame
シグナルが追加されたDataFrame
"""
df = df.copy()
# 上昇日判定
df['up_day'] = (df['close'] > df['close'].shift(1)).astype(int)
# Psychological Line(過去N日間の上昇日の割合)
df['psy_line'] = df['up_day'].rolling(window=period).sum() / period * 100
# 移動平均でスムージング
df['psy_ma'] = df['psy_line'].rolling(window=3).mean()
# ボラティリティ調整
df['psy_std'] = df['psy_line'].rolling(window=period).std()
df['psy_upper'] = 50 + df['psy_std']
df['psy_lower'] = 50 - df['psy_std']
# エクストリーム判定
df['extreme_low'] = df['psy_ma'] < oversold
df['extreme_high'] = df['psy_ma'] > overbought
# シグナル生成
df['psy_prev'] = df['psy_ma'].shift(1)
df['is_buy'] = (
(df['psy_ma'] > oversold) &
(df['psy_prev'] <= oversold) &
df['psy_ma'].notna()
)
df['is_sell'] = (
(df['psy_ma'] < overbought) &
(df['psy_prev'] >= overbought) &
df['psy_ma'].notna()
)
# 不要カラム削除
df.drop(['up_day', 'psy_std', 'psy_upper', 'psy_lower',
'extreme_low', 'extreme_high', 'psy_prev'], axis=1, inplace=True, errors='ignore')
return df
なぜこの結果になったのか(3つの理由)
- 1みんなが『売られすぎ』だから、そろそろ値段が上がるだろうと予想して買っても、実際にはもっと値段が下がり続けてしまうことが多かったです。逆も同じで、みんなの気持ちが一つの方向に動き出すと、その勢いがなかなか止まらなかったようです。
- 25分ごとという短い時間での取引は、値段の動きを当てるのがとても難しいです。また、何回も取引を繰り返したので、そのたびにかかる手数料が積み重なって、利益が出にくくなってしまいました。
- 3『みんなのキモチ』をはかるためのルール(例えば、過去12回のうち何回上がったか?とか、25%や75%という基準)が、今のイーサリアムの動きには合っていなかったのかもしれません。
この結果から学べる3つの教訓
- 1みんなと反対のことをする『逆張り』作戦は、みんなのキモチだけを頼りにすると、うまくいかないこともある、ということがわかりました。
- 25分ごとみたいな短い時間での取引は、チャンスがたくさんありそうに見えますが、その分、失敗する危険も大きいということを学びました。
- 3作戦がうまくいかなかったときは、「なんでダメだったんだろう?」と理由をしっかり考えて、次にもっと良い作戦を考えることが大切だとわかりました。
リスク管理の具体的手法
取引量の決め方
1回の取引で使うお金は、自分が持っているお金全部のうちの、ほんの少しだけにします。例えば、10000円持っていたら、100円とか200円だけにする、という感じです。そうすれば、もし失敗しても、大きなダメージを受けずにすみます。
損失が大きくなったときの対処法
もし、持っているお金が全部で10%以上減ってしまったら、一度全部の取引をやめます。そして、どうしてそうなったのか、作戦は間違っていなかったか、もう一度ゆっくり考え直す時間を作ります。
資金管理の方法
取引で増えたお金は、全部を次の取引に使わないようにします。一部は貯金したり、好きなものを買ったりして、もし次に失敗しても大丈夫なように備えておくことが大切です。
改良案の具体的提案
- 『みんなのキモチ』だけでなく、値段の勢いを示すような、別の道具も一緒に使って、もっと確実なタイミングを探してみます。
- 『買われすぎ』や『売られすぎ』を決める数字(25や75)を、そのときの状況に合わせて変えたり、コンピューターに自動で調整させたりしてみます。
- 5分ごとではなく、1時間ごとなど、もっと長い時間で値段の動きを見てみたり、イーサリアム以外の別の仮想通貨で試してみたりします。
実用性の向上(運用上の注意)
- この作戦は、今回やってみたら残念ながらお金が減ってしまいました。なので、このままマネして使うのは、おすすめできません。
- もし「それでも試してみたい!」と思うなら、まずはゲームみたいにお金が減らない練習用の『デモトレード』で試してみましょう。本物のお金を使うなら、なくなっても大丈夫なくらいの、ほんの少しの金額から始めるのが安全です。
- 取引をしたら、毎回ノートにつけましょう。「今回はうまくいった!」「今回は失敗した…」と結果を書くだけでなく、「どうしてそうなったんだろう?」と理由を考えることが、上手になるためのヒミツです。
検証の透明性と信頼性
- データの出所: この実験は、過去の仮想通貨「イーサリアム」の、5分ごとの値段のデータを使って行いました。
- 検証のやり方: 昔の値段のデータを使って、「もしこの作戦を過去にやっていたら、どうなっていたかな?」というシミュレーション(実験)をしました。
- コード: この実験で使ったコンピューターのプログラムは、誰でも見られるように公開しています。
- 注意事項: この記事は、「こういう作戦を試してみたら、こうなりました」という報告です。みなさんに「これを真似してお金を増やそう!」とおすすめするものではありません。仮想通貨の取引は、値段が急に上がったり下がったりして、お金が減ってしまう危険もあります。もし取引をするときは、必ず自分でよく考えて、自分の責任で行ってくださいね。